前回のコラムで、料理とワインの相性を意味する“マリアージュ”という言葉をご紹介しました。お伝えした通り、これは直訳したら「結婚」の意味。男女の結婚と同じように、料理とワインのマリアージュも両者の力関係やバランスが大切になってきます。今回は素敵なマリアージュを成立させるための3つのポイントをお伝えしますね。
色調を合わせる
料理とワインは、それぞれが持つ似た性質を合わせると上手くいくと言いますが、「色」を意識することで、双方がうまい具合に馴染むことが多いようです。例えば、帆立貝のバターソテーだったら白ワイン、牛頬肉の赤ワイン煮込みには赤ワインというように、素材やソースを含めた、お料理の全体的な色調に近いワインをセレクトしてみましょう。また、海老や豚肉などピンク色の食材にマッチするのがロゼワイン。ロゼは白ワインと赤ワインの特徴を併せ持ったニュートラルなスタイルなので、幅広いお料理とマッチする実に“使える”一本です。では、鮮やかな緑色が際立つフレッシュサラダはどうしたらいいでしょう?これには、白ワインの中でも少し色味がグリーンがかっている、若々しいタイプのワインを合わせてみて。
街中のカップルもそれぞれ同系色のコーディネートで揃えている2人には、一体感がうまれていますよね。洋服を選ぶときに、幾つかのアイテムの色調を彼のファッションに合わせるだけで、「お似合い」カップルになれるかも。
格を合わせる
「格」というとイメージしにくいかもしれませんが……「値段の高さ」と置き換えてみると分かりやすいかもしれません。つまり、料理もワインもそれぞれ同じぐらいの値ごろ感のもので揃えることがポイントなんです。例えば、グランメゾンでフルコースを食べる時には、それなりのワインを頑張って合わせたいけれど、カジュアルなランチのお供が高価なワインでは、ちょっともったいないですよね。高級料理には高級ワインを、カジュアルな料理にはカジュアルなワインを合わせるのが、マリアージュのバランスを保つポイントです。理解しておきたいのは、高級フレンチでサーヴされるフルコースも、家でサクッと作ったサンドイッチもどちらも美味しいように、高いワインもお手頃なワインもそれぞれ違った魅力があるということ。しかしパートナー選びを間違ってしまうと、双方のせっかくの魅力をうち消してしまうことになりかねません。
人間のカップルだって、金銭感覚がある程度一致していないと、お互いにとってストレスになってしまいますよね。特に結婚(マリアージュ)を考えるのだったら、経済的な部分を意識することもある程度は必要ですから……。
産地を合わせる
最後に、料理とワインのそれぞれの生産地を揃える試みをご紹介したいと思います。イタリア料理店に行ったらイタリアワインをオススメされますし、天ぷらやお刺身だったら日本ワインがしっくりくるでしょう。オージービーフのバーベキューにはボディのしっかりしたオーストラリア産の赤ワインを合わせても良いですね。もっと狭域な例だと、ブルゴーニュの赤ワインにはこの地域の郷土料理である「コック・オー・ヴァン(鶏の赤ワイン煮込み)」が抜群に調和するように、その地方の料理に同じ産地のワインを合わせるというアプローチもテッパンです。長い歴史や文化が育まれてきた中で、同じ地域性を共有していた料理とワインは驚くほどナチュラルな調和を生むはずなんです。
人間同士も出身地が同じだと相手に親近感を覚えますし、話し方や考え方も通じ合うことが多いですよね。昔からの同級生同士が結婚……というケースが結構ありますが、育った環境や地域性を共有している相手だからこそ、お互い自然体でいることができ、心地よい時間を共に過ごせるのではないでしょうか。
いかがでしたか?ここでは定番のマリアージュの法則をあげてみましたが、必ずしもこうしなくてはいけない、という決まりはありません。ご紹介したポイントを少し意識しながらも、自由な発想で料理とワインのマリアージュを楽しんでみてくださいね。もしかしたら……素敵なパートナー選びのヒントにもつながるかも!?